2024年8月2日(金)午後、東京ベイ有明ワシントンホテルのアイリスホールで、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の世界一の安全・安心社会の実現領域の本格研究「健全な社会と人を支える安全安心な水循環系の実現」(研究代表者 田中宏明 信州大学特任教授、京都大学名誉教授)の第2回公開シンポジウムが開催され、現地92人、オンライン80人の計172人が参加し、活発な意見交換が行われました。
本シンポジウムは、本格研究でのビジョンや全体構想、各研究グループの研究成果を発表するとともに、今後の研究計画と社会実装への取り組みについても紹介するものです。また、この研究と深く関係する、医療や畜産の研究者、成果を利用する立場の上下水道や水環境の国の行政担当者、水に関わるマスコミ関係者から基調講演やパネルディスカッションをしていただき、本研究課題にどのような関心と期待をいただいているいるのかを意見交換しました。
本シンポジウムは、研究代表者から開催の趣旨説明、JST安全・安心社会領域の田中健一運営統括の挨拶が行われた後、研究代表者から本格研究でのビジョンや全体構想を説明しました。POC1リスク管理と評価については、京都大学 西村文武教授、北海道大学 佐藤久教授、東京大学 北島正章 特任教授が、現在までの研究成果を報告し、会場の聴講者と質疑を行いました。POC2リスクコントロールについては、北海道大学 松下拓教授、摂南大学 水野忠雄教授、北海道大学 木村克輝教授、(株)ニュージェック 松本直樹研究員が、現在までの研究成果を報告し、会場の聴講者と質疑を行いました。。
各グループからのポスター発表17件が、休憩時間を挟んで行われ、新潟大学の齋藤昭彦教授から「下水サーベイランスによる小児のウイルス感染症流行予測の可能性」、酪農学園大学の臼井優教授からは「畜産分野での薬剤耐性菌の実態と環境共生技術開発」の講演をいただきました。
その後、国の水環境行政の立場から𠮷川圭子 環境省水管理課長、国の流域水管理行政の立場から嶋崎明寛 国土交通省官房参事官付流域計画調整官、水に関わるマスコミの立場から 磯部光徳(株)日本水道新聞社代表取締役社長に話題提供をいただき、北海道大学 松井佳彦名誉教授の司会のもとで、研究者を含めてパネルディスカッションが行われました。
パネリストからは、本研究事業は、まさに今後の水環境行政の中で必要となる研究で、着々とした成果と今後の研究成果が期待され、それに対応してリスク管理を進めたいとの意見がありました。また流域水管理の立場からも、本研究事業で様々な水質リスク要因が提示されているため、今後、海浜公園など対応が必要な水質リスクについても議論して、コミュニケーションを取りながら対策を考えていきたいとの意見もいただきました。さらに水インフラはパブリックであるため、研究のための研究や論文化だけではなく、総合医療的な考え方で社会・研究を俯瞰し、社会のための研究となることを期待しているとのコメントもいただきました。研究者側も、ワンウォーター、エネルギー削減、ワンヘルスの問題もあり、世の中から見ても必要という手応えを感じているため、産官学の連携をさらに密にして、社会実装につながるように取り組んでいきたいとの発言がありました。最後に、本格研究の残りの2年半だけではなく、その先を見ることが大事だと再認識し、どういった社会をつくっていくのか、何が必要であるのかという視点を忘れずにこれからも研究をしていきたいと締めくくられました。


